松本清張さんを「しのぶ会」と「地域づくり事業」
「清張さんの道を歩く会」(略称=歩く会)活動の歩み

代表世話人 小松 康希


● 設立経緯 ●

▼当会は、北九州市出身の作家「松本清張」さんの<功績を称える>目的で、平成27年7月に設立されました。
▼松本清張さんは復員直後の昭和20年秋から8年間、家族と一緒に北九州市小倉北区<黒住町>(当時の黒原営団住宅)で暮らしていました。その頃、執筆活動を始め、直木賞候補となったデビュー作「西郷札」や、芥川賞受賞作「或る“小倉日記”伝」を発表しました。「黒住町」が<清張さんの文学のふるさと>と言われ、<清張文学の原点、発祥の地>と言っても過言ではありません。

▼ところが、平成25年8月、清張さんが家族全員で住んでいた<清張旧居>は解体されてしまいました。もともと地元には<記念碑>や<文学忌>などなかったので、清張さんを語るものは何もなくなりました。

▼当時の清張さんや家族の方の面影や生活ぶりは、僅かな人たちの記憶の中だけになってしまいました。

▼また、新しく黒住町に移って来た人たちの中には、清張さんが住んでいたことさえ知らない人もいます。

▼<このままでは清張さんが地元から忘れられてしまう>と危機感を覚えました。

▼そこで、昭和を代表する文豪「松本清張」さんが<この町に住み作家活動を始めた場所 >であることを<広く皆さんに伝え>また<次世代にも伝えよう>と顕彰活動を始めました。

▼地元の有志を中心にほとんどお金をかけない「リユース(再利用)方式」で、この地域の特色「清張さんの文学のふるさと」を「特色ある地域づくり」に生かすことにし、「清張さんのふるさとづくり」に取り組みました。運営母体として「清張さんの道を歩く会」を起ち上げました。

● 活動状況 ●


❶しのぶ会(清張忌)の開催
 平成27年8月4日の命日に第1回開催。以降、毎年継続開催。

❷公園の名称変更

▼黒住町内の清張旧居跡から徒歩3分の距離にある「黒住公園」を 「くろずみ清張公園」に改称するため、黒住町自治会員及び家族604名の賛同署名を添えて北九州市に要望。平成28年4月1日付で改称されました。

▼同月、除幕式も行い<清張さん作詞>の「足立中学校」校歌を、同校17名の生徒に披露していただきました。

❸清張文庫の開設
▼<校区内で清張作品を誰でも気軽に読める>目的で「清張文庫」開設を「足原校区まちづくり協議会」へ要望し同会が文庫運営を決定。

▼平成29年8月4日、足原市民センター内に、「あしはら清張文庫」開設。

▼更に、《松本清張さんを次世代に繋ぐ試み》として霧丘中学校に「清張文庫」を提案。

▼平成29年11月26日、「きりがおか清張文庫」が開設。

▼本は主に北九州市民の皆さんの協力で1,200冊の献本が集まりました。

▼より充実した文庫にするため献本活動は続けていますので皆様のご協力をお願い申し上げます。

▼なお、「清張」さんの<名前使用>については、公園・両文庫とも北九州市立松本清張記念館を通じ東京の松本家へお願いし書面で承諾をいただいています。

❹【紙芝居の上演】

▼<地元での清張作品普及活動>のため、地域調べサークル「菊ヶ丘『語ろう会』」(小倉北区)制作の記録型紙芝居=「清張さんの歩いた道」(上・下巻)=を上演する目的で「歩く会」の黒住町在住の女性会員11名が「くろずみ一座」を起ち上げました。

▼地元出身の「松本清張」さんの<人となり><輝かしい功績>を語り継いでいく考えです。清張作品がもっと多く読まれ、地元出身の「松本清張さん」を知らない人たちや若い世代の人たちが、清張作品に接するきっかけになればと期待して活動しています。

▼併せて、地域に関連した<記録型>紙芝居、<伝承・歴史型>紙芝居も紹介することで、地域づくり・地域の歴史と文化の伝承に繋がる活動も目指しています。