『清張さんの道を歩く会』会報【No.5】

☆ 紙芝居上演と感動の再会 ☆
 

 平成28年、暮も押し迫った12月15日、松本清張記念館「友の会」主催の「松本清張生誕祭」が開催されました。当日は、「松本清張」さんの、長男「陽一」さんが「生誕祭」に初めて参加されました。その席で、「くろずみ一座」が「清張さんの歩いた道」の紙芝居を上演しました。清張記念館で清張さんの紙芝居を披露できるだけで願ってもない機会と思っていたのに、清張さんの身内の方にも同紙芝居を披露できたので最高の舞台になりました。
 最前列に座っていた陽一さんは、紙芝居のコマ絵を映したスクリーンを、身を乗り出すように見入っていました。「清張さん」が「子供さん」を連れ、ボタ山に登り冬の星座を教える場面は特に懐かしくご覧になっているようでした。上演が終わった直後、「ありがとう!! 」と大きな声で言われ、「くろずみ一座」全員大喜びでした。
 紙芝居終了後、陽一さんへ「清張さんが星座を教えた時に登った山はどこか」との質問に、小倉タイムスと毎日新聞の記事には、「『親父は道を歩きながら星座を教えてくれた。真冬、手袋もしていない僕の冷たい手を親父のポケットに入れて温めながら星座の話をしてくれた』と懐かしげに話していた」などと記載していました。
 くろずみ一座の座員で「陽一さん」と幼馴染の「大坪幸子(ゆきこ)」さん(清張さん宅とは右・筋向いどうし)と「平野(旧姓・宮原)久美子」さん(隣どうし)が62年ぶりの再会をしました。最初は「陽一さん」も思い出せなかったようですが、そばで「平野さん」が「『ゆきちゃん』よ」と言ったとたん、目を見開いて「大坪さん」と握手をされていました。次に「大坪さん」が「隣に住んでいた『宮原さん』」です」と「平野さん」を紹介したところ、「陽一さん」が「覚えてる!! 線路傍の宮原さん」と、またもや目を丸くしていました。そして、「江副昭子さん」(歩く会世話人江副伸久さんの奥様)が加わり挨拶すると、「あっ、『江副さん』。父と母がお世話になりました」と当時の親御さん同士の親交が窺われました。しばらくみんなで懐かしく話をした後、「陽一さん」を囲んで記念写真を撮りました。半世紀以上を経た感動の再会でした。【完】

(平成28年12月31日 小松康希)